上海は7月上旬には梅雨が明け、夏本番を迎えています。湿度が高く蒸し暑いですが、深緑色の葉を広げたプラタナスの街路樹が、涼しげな木陰をつくっています。
 古き街並みが次々と高層ビルに生まれ変わる上海では、この数年で仕事の仕方も大きく変化しています。その1つが緑色のアイコンのアプリ「微信(WeChat)」の活用です。中国版LINEとも呼ばれるアプリの普及で名刺交換は形骸化し、微信IDの交換が実質的な挨拶となりました。初対面の別れ際には双方がメッセージを送信し、そのままチャットが始まることも珍しくありません。日本では面談後に落ち着いてから御礼のメールをしようとPCを開く頃、中国では既に複数の関係者を招き入れたグループチャットが立ち上がり、情報共有や意思決定が次のステージに進んでいることも日常で、このスピード感には驚かされるばかりです。
 
また、このアプリは電子マネーの機能もあり、スーパーや飲食屋台、公共交通機関での支払いや、知人・友人への送金も可能です。私は上海に到着した翌日からすでに1か月間ほど現金を触らない生活が続いています。(ただし、携帯電話のバッテリー残量には敏感になりました。)
 
横断歩道でクラクションを鳴らして「我こそは優先」と走っていた自動車は、歩行者の横断を待つようになり、交通マナーも格段に向上しました。車のナンバープレートは、従前の青色から電気自動車など新エネルギー車を示す緑色が増えています。現在、上海市では青色ナンバー取得に10万元(約200万円)もの大金が必要ですが、緑色ナンバー取得には、この費用が不要で、現地でEVシフトが進むのも頷けます。
 
6月下旬の端午節には、有名な観光地である外灘(バンド)の絵葉書を買いました。静岡県内で暮らす娘に宛てた手紙は、中国郵政の緑色のポストに投函され、この文章が掲載される頃には、家族の手元に届いているだろうと楽しみにしています。

中国では、「果酒」と呼ばれる伝統的な果実酒に「楊梅酒」があります。楊梅(ヤマモモ)の果実を原料として使用し、砂糖と米麹などの材料と一緒に発酵・蒸留されてできたのが「楊梅酒」です。梅雨の頃に、実をつけることから、名付けられたと言われる楊梅(ヤマモモ)は、暑さに強く、耐乾燥性に優れた植物であり、浙江省、福建省、広東省、広西チワン族自治区などで広く栽培されています。「楊梅酒」は、中国の伝統的な文化に根付いた酒の一つであり、中国国内外で愛される酒の一つとして広く知られています。

果実酒の代表格「楊梅酒」
楊梅〈日本名:ヤマモモ〉は、浙江省では寧波市下の余姚(よよう)市の特産として知られています。6月中旬~7月初旬が滴下の盛期を迎え、その瑞々しい果実は、そのまま食べても柔らかくて甘酸っぱく、とてもおいしいですが、24時間ほどしか日持ちがせず、鮮度がすぐに落ちてしまいます。そのため、地元ではこの楊梅(ヤマモモ)を「白酒」(蒸留酒)に1カ月ほど漬けて「楊梅酒」を作り、年中、楊梅(ヤママモ)を楽しめるようにしました。余姚市では、瓶詰めされ市販されています。地場の「楊梅酒」は、アルコール度数は40度以上もあるため、一気に飲むと酔いやすく、ゆっくり味わったほうがよいとされています。また「楊梅酒」は、漬け込んだ楊梅(ヤママモ)を1個食べるだけで、腹痛や暑さ負けに効果があるといわれていますが、相当量のアルコールを含んでいるので注意が必要です。

拡大する中国の果実酒市場
中国のアルコール市場では、低アルコールにした果実酒は20歳から30歳代の若い女性に人気があり、特に都市部に住む人達が主力消費者になっています。中国では荔枝(ライチ)酒、枸杞(クコ)酒、梅酒、桃酒など、様々な種類の果実酒が季節ごとに登場して、季節感のある果実酒を楽しむことができます。また、市場に出回る、こうした果実酒は、白酒やビールに比べてアルコール含有量が低くて飲みやすく、また果実酒は栄養価が高く、ポリフェノールが多く含まれ、健康にも優れているとも言われています。

 

余姚江、奉化江、甬江の合流地点である三江口の北岸に、「老外灘」と呼ばれる場所があります。それは、かつてイギリス領事館、浙江税関、カトリック教会、寧波郵便局、商業銀行などとして使われた建物が並び、中国の伝統的な住宅建築とは対照的な欧風の雰囲気が漂う地域です。また、美術館やレストラン、コーヒーショップ、パブなども立ち並び、観光客だけでなく地元の若い世代や寧波に暮らす外国人に人気のスポットになっています。

三江口は、すでに唐代から中国四大港湾の一つで、鑑真和上はここから日本へ向かいました。また、ここは寧波幇(寧波商人)発祥の地でもあります。1840~42年のアヘン戦争後、清国は南京条約を結び、寧波は五大通商港のひとつになりました。開港後まもなく甬江の北岸は、イギリス、フランスなどの居留地として発展していきました。それが「外灘」です。「外灘」というと、上海のBund(バンド)がよく知られていますが、寧波の「外灘」の方が上海より20年ほど古い歴史があります。

寧波の貿易を支えたのは、「寧波幇」と呼ばれている同郷の商人集団です。寧波が通商港としての重要性を帯びたことで、甬江沿岸一帯は寧波人の商業活動の舞台となりました。やがて、寧波商人は上海へ集中的に移住し、清末の上海経済界で重要な地位を占めるようになります。寧波商人は、銭荘業や海運業などに従事し、有力な商人集団として成長していきました。銭荘というのは、中国の旧式の金融機関です。寧波商人の銭荘は、現金を授受せずに帳簿上で出入額を記載する「過賬制度」を用いて、大口の商業取引を促進しました。寧波の銭業会館は、当時の銭荘の姿をほぼ完全な形で保存している博物館です。会館には、寧波金融業の発展を記した碑文や歴史的モニュメントが残されています。

寧波という都市は、北京や上海ほどの繁栄はなく、中国の地方都市のひとつにすぎないかもしれません。しかし、唐宋代から東アジア海域交流の拠点で、あちこちに歴史の重みを感じる建造物が点在しています。寧波料理を味わいながら寧波の街歩きをする旅に、富士山静岡空港からの直行便が再開したら、ぜひお出かけください。

 

 

寧波老外灘

【寧波老外灘】

(出典:「寧波晩報2021.7.15

【寧波の銭荘】

(出典:http://www.360doc.com/content/23/0131

かつて、番犬や実益のために飼われていた中国のペットたちは今、都市に生きる人々の「唯一無二の家族」へとその地位を昇格させている。

孤独を癒やす「5,000億元のぬくもり」

中国のペット市場は、驚異的なスピードでその輪郭を広げている。2018年には1,700億元規模だった市場は、2024年には3,000億元を超え、2030年には5,300億元(約11兆円)を突破すると予測されている。この膨張を支えているのは、1990年代から2000年代に生まれた「高学歴・高所得」な若年・中堅世代である。晩婚化や単身世帯の増加を背景に、彼らにとってペットは「飼育対象」ではなく、自身の感情を投影し、日々の疲れを癒やしてくれる「情緒的なパートナー」となっている。かつてのコストパフォーマンス重視の消費は影を潜め、今やペットの「生活の質」こそが、飼い主の消費の最優先事項となっている。

「医食同源」の視線は、愛する友の皿の上へ

市場の半分以上を占めるペットフード分野では、「人とペットは同じ起源(Human-Grade)」という概念がスタンダードになりつつある。無添加、グレインフリー、更には素材の食感を活かした「生食」や「低温焼き」といった高級フードが台頭し、そのシェアはすでに4割を超えた。一袋の価格が従来品の数倍であっても、愛する「家族」の健康寿命を延ばすためなら、財布の紐を緩めることに躊躇はない。それはもはや単なる餌ではなく、深い愛情の証なのである。

テクノロジーが紡ぐ「言葉なき対話」

ハイテク大国・中国らしい進化が、スマートペット用品の普及である。心拍数や睡眠の質を24時間モニタリングするウェアラブル端末、AIが健康状態を分析するスマート猫用トイレ、更には遠隔での給餌や遊びを可能にするロボット。これらは、仕事で家を空けがちな飼い主の罪悪感を和らげ、「言葉を持たない家族」とのデジタルな対話を可能にしている。医療現場でも、主要都市の動物病院の7割がAI診断ツールを導入し、人間顔負けの精密な診療が行われるようになりました。介護やメンタルケア、さらにはペット保険といった「ゆりかごから墓場まで」をカバーするサービス網は、急速な勢いで整備されている。

豊かさの影に潜む、もう一つの現実

しかし、この熱狂の裏側には、放置できない歪みも存在する。年間1,000万頭ペースで増え続ける野良犬や野良猫、そして一部の飼い主によるしつけやマナーの欠如である。ペットを「商品」や「ファッション」として捉える風潮が、無責任な遺棄という悲劇を生んでいる。「擬人化」が進み、ペットが家族として当たり前に寄り添う社会。それは、私たちが動物たちの命に対して、人間と同じだけの、あるいはそれ以上の責任を負うことを意味している。

中国寵物網:2025年中国寵物行業市場報告 等を参照・整理                        

 

中国におけるウイスキー市場は、過去10年間で劇的な成長を遂げている。2024年の年間輸入量は2015年の1.85倍、輸入額は4.36倍に達した。この伸び率は洋酒全体の輸入額増加率(2.66倍)を大きく上回っており、中国国内でのウイスキー需要の強さを示している。

2025年:中国国産ウイスキー元年の幕開け

2025年は、業界内で「中国国産ウイスキー元年」と言われ、その背景には、法整備と消費構造の劇的な変化がある。新『ウイスキー国家標準』では「原酒産地」「熟成年数の計算方法」「製造工程の要件」という三大定義を明確化している。ウイスキー原酒は国内で蒸留・熟成されなければならないと規定され、熟成年数は「オーク樽で熟成された期間」を基準に、全原酒の最低熟成年数を表示することが義務付けられている。ウイスキー消費は「贈答品」から「日常品」へと移行し、主力層はZ世代や80・90年代生まれへと若年化し、特に18歳から30歳の層が約30%を占め、その多くが高学歴・高収入層(月収1万~2万元層が最多)である。彼らはブランドを盲目的に追わず、産地や醸造技術、風味といった「自己満足」や「体験」を重視する傾向にある。

各地の特色ある国内蒸留所の動向

四川省:叠川蒸留所:仏ペルノ・リカール社が10億元を投じて峨眉山に建設した。2021年にオープン、2023年末に初のピュアモルトウイスキーを発売している。峨眉山の自然景観を生かしたアート展示や演出により、地域の観光拠点としての役割も担っている。

福建省:大芹蒸留所:2014年創業の中国初のシングルモルト特化型蒸留所である。台湾出身の実業家が大芹山の茶畑を改造し、道路建設から始めて7年をかけて事業をスタートさせた。現在の生産規模は年間800万リットルだが、新設中の設備を合わせれば1,500万リットルに達する見込みである。天然温泉付きのホテルも併設されている。

浙江省:淳安蒸留所:英アンガス・ダンディー社が杭州市淳安の千島湖畔に建設し、投資額は10億元規模に達している。2025年12月23日に第一樽の充填セレモニーが行われた。「天下第一の秀水」と称される水質とスコットランドの技術を融合させ、外観には江南・徽州地方の伝統建築様式を取り入れている。

中国国産ウイスキーの未来

中国のウイスキー市場は、過去10年間で輸入額が4倍以上に拡大する急成長を遂げ、2024年には国産生産量が輸入量を逆転するという歴史的転換点を迎えた。2025年の「国産ウイスキー元年」を経て、市場は単なる輸入代替の段階を超え、中国独自の「テロワール(風土)」を定義するフェーズへと移行している。四川省峨眉山の霧、浙江省千島湖の清流、そして福建省大芹山の高地気候など、広大な国土が持つ多様な自然環境は、スコッチやバーボンにはない独自の熟成環境をもたらしている。今後は中国産オーク(蒙古櫟)や伝統的な黄酒樽を用いた熟成など、中国ならではの製法が確立され、世界に類を見ない「チャイニーズ・ウイスキー」という新たなカテゴリーが国際的な評価を獲得していくと予測される。伝統文化と先端技術の融合による「体験型消費」の確立:中国国産ウイスキーの未来を特徴付けるのは、単なる飲料としての普及にとどまらない「観光・文化との高度な融合」である。

かつてコーヒー文化が都市部のライフスタイルを劇的に変えたように、ウイスキーもまた、若年層や高学歴層を中心に「自己満足」と「知的な体験」を伴う日常の嗜好品として定着していくとみられる。老若男女が手軽に、かつ深く楽しむ文化的な土壌を形成していく。今後5年から10年をかけて国産原酒の熟成が進むにつれ、「チャイニーズ・ウイスキー」は東南アジアや日本を含む国際市場へと本格的に進出する。これは単なる経済的な輸出ではなく、ウイスキーという共通言語を通じた中国の食文化や職人技術の「文化的輸出」を意味する。

「チャイニーズ・ウイスキー」は、国際的なコンペティションでの入賞を重ね、世界のウイスキー愛好家にとって無視できない存在となり、海外の先進技術を貪欲に吸収し、自国の伝統と融合させてきた中国の柔軟性は、ウイスキーにおいても「伝統の継承と革新」を体現し、中国製ウイスキーがコーヒーのように日常に溶け込み、世界中のグラスに「中国の風土」が注がれる日は、もう目前に迫っている。  

WHISKY Magazine:動き始めたチャイニーズ・ウイスキー 等を参照・整理

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◆海南島で始まった試み

海南島は観光産業と熱帯農業を主要産業とし、中国国内における代表的なリゾート地として発展してきた。しかし、深セン・珠海・汕頭・厦門に続く第五の経済特区であるにもかかわらず、経済発展は相対的に遅れていると指摘されてきた。こうした状況を踏まえ、海南省政府は2025年12月18日より、海南自由貿易港全島において「封関運営(全島を税関管理下の特定区域として扱う制度)」を正式に開始した。この制度は、海南島の国際競争力を高め、自由貿易港としての機能を一層強化することを目的とした重要な施策である。

◆「封関運営」

 南島全域を税関が監督する特定管理区域として扱い、区域内で関税ゼロなどの優遇政策を適用する仕組みである。「封関」は税関用語で、国境内にありながら関税対象外とする区域を意味する。本制度は、国外との境界線を指す「一線」と、中国大陸部との境界線を指す「二線」という二つの枠組みに基づいて運用される。一線においては、物品や資金、人員の移動が大幅に自由化され、国際貿易や投資がより円滑に行われるようになる。一方、二線においては、自由貿易港から大陸部へ移動する物品に対し、全国統一の税関管理が適用され、輸入規定に基づく手続きや関税・輸入税が課される。この仕組みにより、中国全体の貿易管理制度との整合性が確保される。

◆封関運営の開始後

制度効果は短期間で顕在化している。開始から1月10日までの間に、一線を通過した貨物量は約1万8,000トンに達し、ゼロ関税対象貨物の輸入額は4億6,000万元、免税額は6,212万8,000元となった。また、海南全島の輸出入総額は214億2,000万元となり、前年同期比で19.6%増加した。観光分野でも同様に顕著な伸びが見られ、外国人観光客が増加したほか、国内観光客の滞在日数も延び、ホテルの稼働率が上昇した。免税ショッピングの利用者数は58万5,000人に達し、前年同期比で32.4%増加した。売上額も38億9,000万元と大幅に伸び、前年同期比で49.6%増となった。1日平均の免税売上額は約1億6,000万元に達し、封関前の水準を上回っている。これらの動向から、貿易と観光の両面において封関運営の効果が着実に現れていることが確認できる。

◆今後の課題

海南省党委員会書記の馮飛氏は、貿易量の増加に対応するための通関手続きの利便性向上や、密輸・詐欺を防止するための監督体制の強化が必要であると指摘している。また、先進技術やイノベーション企業を誘致するための知的財産保護体制の整備、さらには熱帯の生態系や自然環境を保全するためのグリーン政策の推進も重要であるとされる。加えて、海南省の土地の約80%、人口の約40%が農村部に属することから、封関運営による経済成長の恩恵が農民の所得向上や地域住民の雇用機会の拡大につながるよう、包摂的な政策を進める必要がある。

総じて、海南島における封関運営は、国際貿易の自由化と国内制度との整合性を両立させる新たな取り組みであり、開始直後からその効果が明確に表れている。今後は、制度運用の高度化、産業誘致、環境保全、住民への利益還元をバランスよく進めることが、海南自由貿易港の持続的な発展に不可欠である。

中国経済新聞:海南自由貿易港、全島封関から1ヵ月等を参照・整理

 

2026年、干支は「丙午(ひのえうま)」である。中国では、古来、この年を「紅午単春年、人収地也収」と呼び、大地も人も豊かに実り、吉運に満ちた一年とされている。しかしながら、日本・中国ともに、歴史的に政変・戦争、国家制度の転換、経済の大きな変動、自然災害など、歴史を動かす出来事が多い年として知られ、60年前の1966年、日本は迷信の影響で出生数が大幅に減少し、中国は文化大革命が始まった。

◆ 紅馬の年、情熱と活力の象徴

「丙」は十干の一つで、五行では「火」に属し、その色は赤。一方、「午」は十二支の「馬」を表す。中国では、丙午の年は「紅馬の年」とも呼ばれる。火は情熱、エネルギー、繁栄を象徴し、馬は自由奔放さと旺盛な生命力を意味する。この二つが重なる丙午の年は、熱気あふれ、活気に満ちた気運が流れる??そんな年の始まりを予感させる。

◆ 単春年とは?

「単春年」とは、旧暦の1年間に「立春」が一度だけ訪れる年を指す。旧暦と二十四節気のズレにより、ある年には立春が2回ある「双春年」、あるいは一度もない「無春年」になることもある。2026年は、旧暦の正月は2月17日(新暦)であり、その年の立春は2027年2月4日。つまり旧暦の「午年」のうちに立春が1回だけしか来ない「単春年」となる。古来、農民はこの「単春年」を、気候が安定し、天候の変動が少ないと見てきた。双春年のように季節のリズムが複雑でなく、伝統的な農作業にとって予測しやすく、耕作に適した年とされてきた。

◆ 天地人、すべてが実る年

「紅馬」の持つ火のエネルギーは、日差しの強さ、日照時間の長さ、大地の温もりを連想させる。これは、作物にとって、光合成が活発になり、養分をたっぷり蓄えられる好条件が整う。そこに「単春年」の安定した気候が加われば、まさに「風調雨順、五穀豊穣」??自然が恵みをもたらす理想的な年となる。「人収地也収」とは、「大地が収穫をもたらし、人もまた収穫を得る」という意味がある。ここでの「収穫」は農作物に限らない。ビジネス、学問、人間関係、家庭生活??どんな分野でも、努力が実を結び、物質的にも精神的にも豊かさを手にする機会に恵まれる年とされる。

◆ 日本と中国、丙午への見方の違い

興味深いのは、同じ「丙午」でも、日本と中国ではその評価が大きく異なる点である。日本では古くから「丙午の年は火災が多く、この年に生まれた女性は気性が激しく、夫を『食い殺す』」といった迷信が広まり、特に1966年(昭和41年)は出生数が激減したほどである。しかし、中国では、「丙午」はむしろ陽気で力強く、天地人すべてが調和して豊かになる吉年と捉えられてきた。

2026年は、単に60年に一度巡ってくる干支の節目ではない。それは、新しい希望を抱き、前向きに歩み出すための年、自然の恵みに感謝し、人としての努力を惜しまず、平和と豊穣に満ちた日々を築くための、吉兆に満ちた一年となると、願いたい。

SOHO.com:「2026年是丙午“紅馬”年」等を参照・整理

 

中国のアニメ産業は近年急速に成長し、2024年には市場規模が 2,200億元 を突破した。かつては海外作品の下請けが中心だった中国アニメは、現在では国内外でヒット作を生み出すまでに発展している。

【国産アニメ発展の歴史的背景】

下請け中心の時代:改革開放以降、日本・欧米のアニメが大量に流入し、中国のアニメ産業は長らく 海外作品の下請け制作 が中心だった。この時期に制作技術は向上したものの、オリジナル作品は少なく、産業としての独自性は弱かった。

政府主導の育成政策(2000年代):2000年代に入り、中国政府は国産アニメ産業の育成を目的に政策を強化した。海外アニメの放送枠を制限。17時~20時のゴールデン帯を国産アニメ優先になり、減税・補助金制度による制作支援、中小スタジオを保護した。しかしながら、当時の支援策は 子ども向け・伝統文化推進 に偏り、大ヒット作品を生む産業基盤にはつながらなかった。

転機『西遊記 ヒーロー・イズ・バック』(2015年):国産アニメの飛躍のきっかけとなったのが、2015年公開の『西遊記 ヒーロー・イズ・バック』である。本作は国の補助金に頼らず、エンジェル投資、クラウドファンディング、監督自身の資金多様な資金源を活用し、8年をかけて制作された。この成功を受け、政府の「実績ある企業・作品への重点支援」へと移行し、産業の質的向上が進んだ。

【中国アニメの特徴】

・最新技術の積極活用:近年の中国アニメは3DCG技術を中心に、ダイナミックで滑らかなキャラクター動作、実写に近い背景表現、2Dにこだわらない技術的最適解を追及。

AI技術の応用による制作効率の向上伝統文化の再解釈:人気作品の多くは、中国の歴史・神話・宗教思想を現代的に再構築している。道教・仏教思想。神話・伝説。歴史上の人物。伝統衣装・建築・絵画のモチーフ。これにより、若い世代に「中国文化の再認識」を促す役割も果たしている。

テーマの多様化:伝統文化系に加え、以下のジャンルも拡大している。SF。ミステリー。日常コメディ。学園もの。BL・ブロマンス。社会風刺・芸術性の高い作品。検閲という制約がある中で、クリエイターはその枠内で最大限の創造性を発揮している。

【大ヒットを支える産業構造】

中国アニメの急成長を支える要因は巨大市場と若年層の支持:中国のエンタメ市場は世界最大級であり、アニメに関心を持つ若い世代が多い。

巨大IT企業の積極投資:テンセント、アリババ、bilibili の大手企業がアニメ制作に巨額投資を行い、制作環境を底上げしている。

技術力の向上:3DCG、作画、音楽制作、AI応用、制作技術が飛躍的に向上している。

視聴環境の進化:オンラインプラットフォームの普及や家庭用視聴機器の高性能化により、視聴者層が拡大している。

IPビジネスの強化:グッズ販売、ゲーム化、コラボ企画、IPビジネスが強化され、ファンコミュニティの活性化につながっている。

【日本アニメとの比較】

日本のアニメ制作市場は2024年に 3,621億円 と過去最高を更新したが、TVアニメ本数は過去10年で最少となり、以下の課題が指摘されている。手描き中心の制作体制。制作現場の人件費・労働環境問題。制作会社の多重下請け構造。一方、中国アニメは技術革新と資本力を武器に急成長している。両国のアニメ産業は異なる強みを持ち、競争と協調の両面で関係が深まっている。

【今後の展望】

中国アニメは、技術力・資本力・市場規模を背景に、今後も世界市場で存在感を高めると見られる。一方で、検閲制度や創作の自由度といった課題も残る。日本アニメは独自の美学と表現力で世界的評価を維持しており、両国のアニメ産業が互いに刺激し合いながら、作り手・視聴者双方にとって豊かなアニメ文化を形成していくことが期待される。

++チャイニーズドットコム:「中国アニメ【2025年最新版】おすすめ30選!魅力・歴史・視聴方法まで完全ガイド」等を参照・整理++

 

 

中国鉄道局は、今年10月1日から紙媒体の切符と領収書を全面的に廃止し、電子切符・領収書へ切り替えた。中国の鉄道システムはさらに一歩、デジタル革命が進むことになった。

【中国鉄道ペーパーレス化の歩み】

中国鉄道における切符と領収書の完全電子化は、2018年に海南環島高速鉄道で試験的に導入されたeチケットから始まり、2020年には全国の普通列車に拡大した。乗客は有効な身分証明書を提示するだけで乗車できるようになり、紙の切符は「精算用領収書」としてのみ発行されるようになった。その後、2024年11月には、電子領収書が完全にデジタル化され、旅客は駅や代理店に足を運ぶことなくオンラインで領収書を取得できるようになった。さらに2025年10月には紙媒体の領収書が全面的に廃止され、鉄道システムは本格的にペーパーレス化へと移行した。

【領収書のデジタル化】

電子領収書は、2024年11月1日から完全にデジタル化された。旅客は実費精算の際、駅や販売代理店、セルフプリンターに足を運んで紙の領収書を印刷する必要がなくなり、オンラインで電子領収書を取得できるようになった。もっとも、利便性を考慮して移行期間が設けられ、2025年9月30日までは紙媒体と電子の両方が利用可能であった。紙媒体の全面廃止に対しては「高齢者が列車利用に不便を感じるのでは」との懸念も寄せられていた。ただし、切符そのものは廃止されるものの、旅客はセルフプリンターで発車時間、到着駅、座席番号、改札口など予約情報を印字した紙を引き続き入手できる。

【完全電子化の効果】

完全電子化には多方面での効果が期待される。まず環境面では、2023年の中国鉄道旅客輸送量36億8000万人を基に、切符1枚10gと仮定すると年間約3万6800トンの紙資源が節約され、膨大な樹木の伐採を防ぐことができる。次にガバナンス面では、電子発票システムが税務当局と直接連携するため、データの透明性と正確性が大幅に向上し、不正な経費精算のリスクを抑制できる。さらに効率面では、電子データは物理的な保管スペースを不要とし、検索や管理も容易である。紛失や破損のリスクもなくなり、企業経理の効率化に加え、個人の時間や手間の削減にもつながる。完全電子化の効果は多岐にわたる。

【完全電子化の課題】

一方で、完全電子化には課題も残されている。高齢者やデジタル機器に不慣れな利用者にとっては操作が難しく、利用に負担が生じる可能性がある。また、ネット環境やシステムに依存するため、障害発生時には乗車手続きが滞るリスクもある。さらに、紙の切符が「旅の記念」として残せなくなることを惜しむ声もある。こうした課題に対しては、セルフプリンターで予約情報を印字できる仕組みが残され、一定の補完策が講じられている。外国人利用者については、パスポートによる本人認証で乗車が可能となり、公式アプリ「鉄路12306」を通じて電子発票を取得できるようになっている。決済手段もアリペイやWeChat、国際クレジットカードに対応し、英語版アプリも提供されているため、利便性は大幅に改善されている。

総じて言えば、中国鉄道の完全電子化は、環境保護、ガバナンス強化、効率化を同時に実現する大きな転換点であり、デジタル革命の象徴的な一歩となった。ただし、高齢者や外国人利用者へのさらなる配慮、システム障害時の対応策、文化的価値の継承といった課題は今後も検討がされることを期待される。

Record China:「紙きっぷ廃止で資源削減、中国の鉄道が10月から電子版に統一」等を参照・整理

 

【中国の社会保障制度】中国の社会保障制度は「五険一金」と呼ばれ、労働者の給与額を基に定められた比率で納付されます。「五険」とは、養老保険・医療保険・失業保険・労災保険(工傷)・出産保険(生育)を指し、納付比率は地域によって若干異なります。

• 養老保険(年金):会社負担16%、個人負担8% • 医療保険:会社負担約10%、個人負担約2% • 失業保険:会社負担約1% • 労災保険:業種により0.2%~0.8%(会社負担)• 出産保険:0.8%(会社負担) 「一金」は住宅積立金であり、労働者が不動産購入時の頭金やローン返済に充てることができます。積立率は5%~12%の範囲で、会社と個人が同率で負担します。

労働者にとっては、たとえ手取りが減っても12%の積立を選べば、その分は将来の資産形成に回され、会社からも同額が加算されるため、実質的なメリットがあります。中国政府としても不動産購入の促進を図る観点から、積立率12%の採用が推奨される傾向にあります。

【負担の大きい社会保険料】会社が規定通りに社会保険料を納付すると、労働者の給与額に対して以下の負担が発生します:• 養老保険:16% • 医療保険:10% • 失業保険:1% • 労災保険:0.8% • 出産保険:0.8% • 住宅積立金:12% → 合計:40.6%

例えば、労働者の契約給与が月額10,000元の場合、会社は約4,000元を追加で負担することになります。十分な人件費予算を確保できる企業であれば問題ありませんが、経営が逼迫している企業にとっては大きな負担です。また、労働者側も、特に出稼ぎ労働者にとっては、社保料を支払っても居住地で給付を受けられるか不安があり、手取りの減少を嫌う傾向があります。

浙江省の2024年の給与統計によると、国有企業や学校・病院などの非私営企業の月平均給与は11,436元、私営企業では6,436元と大きな差があります。これは、私営企業が人件費に十分な予算を割けないことを示しており、労働者にとっても低賃金から社保料が差し引かれることは生活に直結する深刻な問題です。そのため、雇用主と労働者の間で社保料負担を回避するためのグレーな契約が行われることもありました。

【弱者は淘汰されるのか?】2025年8月、人民最高法院は社会保障制度をめぐる労働争議に関して新たな法律解釈を発表しました。それによると、「雇用主と労働者が社会保険料の納付義務や給付権利を放棄することに合意したとしても、それは無効であり、労働者は離職時に社会保険金を請求できる」とされました。これを受けて、9月1日以降、中小零細企業や個人経営者に対する社保料の徴収が徹底されることとなりました。

この方針は、労働者の社会保障を確保するという点では非常に意義深いものですが、利益率が低く、給与水準を引き上げる余力のない企業にとっては、まさに死活問題となりかねません。企業間の給与格差が問題化しつつある日本にとっても、中国当局が中小零細企業の人件費増加に対してどのような救済策を講じるかは、注目すべき動向と言えます。

JBpress :「中国経済の息の根が止まる?社会保険料の強制取り立てで中小零細は倒産ラッシュか」等を参照・整理