近年、中国では化粧品の売上が伸びています。

特に中国国内ブランドの売上が伸びていて、2022年に市場規模は4,858.1億元(約9.7兆円)に達し、2023年には5,100億元(約10.2兆円)を超えると予測されています。購入者層を見ると、女性客は79.7%、25歳から35歳の層が61.2%と、若い女性世代が比重を占めています。

売上トップ企業をみると、2022年の1位は上海家化聯合有限公司、2位は珀莱雅化粧品有限公司、3位は華熙生物科技有限公司。1位の上海家化は長年売上トップを誇っている企業ですが、売上高を見ると、2020年は70.32億元、2021年は76.46億元、2022年は71.06億元と前年を下回っています。2位の珀莱雅は、前年の5位より順位を上げ、売上高も2021年の47.33億元から2022年の63.85億元へと大幅増収しました。3位の華熙生物は前年の4位より順位を一つ上げ、売上も2021年49.48億元から2022年63.59億元と増加しています。

2位の珀莱雅「PROYA」は浙江省に本社をおく上場企業であり、2003年杭州市に設立以来、若い年代を対象にバイオテクノロジーを駆使して機能性スキンケア商品を開発してきました。  また、多額の投資をしてオンラインチャンネルを整備し、販売比率を2017年の36%から2022年の90.98%にまで拡大しています。3位の華熙生物は山東省に本社のある上場企業で、スキンケア製品を扱っています。

珀莱雅と同じく浙江省にある化粧品会社、浙江宜格企業管理有限公司も近年急速に成長しています。2017年に杭州市で誕生した化粧品ブランド「花西子(フローラシス)」を展開し、中国国内だけでなく日本にも進出し、注目を浴びています。中国に古くからある花を用いた美容法により、フラワーエッセンスやハーブエキスなど植物の力を、最新の科学技術と融合させることにより製品開発をしています。また、パッケージ等見た目にもこだわり、扇形をしたケースや、中国故事をテーマとした彫刻リップなど中国伝統文化を取り入れた個性的なデザインにしています。

化粧品で売上を伸ばしている中国企業の特徴は、スキンケアを重点に技術開発していることです。中国の若い世代の女性は保湿や白い肌といった機能性を重視し、「効果がない=スキンケアではない」というトレンドの中、美肌の機能を強調した化粧品が売れています。同時に化学物質や合成成分を含まない、オーガニックや100%植物由来のようなナチュラル&クリーンラベル化粧品への需要が高まっています。それと共に、パッケージデザインにもこだわりがあり、中国伝統をテーマとしたデザインを好むとした割合がほぼ40%で、海外ブランドとは一線を画した中国国内仕様が好まれるようになってきています。

中国国外の化粧品メーカーにとっても、中国の市場規模と成長性は無視できないものです。欧米市場ではフレグランスやメイクの需要が高い一方で、特にスキンケア需要が高い中国市場では、同じアジア圏の肌質である日本メーカーの得意分野が受け入れられやすいと言われます。 

化粧品に対する中国消費者ニーズが拡大する中、競争は激化し、日本メーカー中国国内メーカー共に技術を磨いて次世代型商品を出していく必要がありそうです。

知粧株式会社「中国化粧品会社の状況と市場動向の変化」等を参照・整理