杭州アジア競技大会の開会式に習近平国家主席が出席しましたが、その前の9月20日、義烏市の後宅街道李祖村、日用雑貨市場「義烏国際商貿城」に足を運び、当地の商店主と交流し、「地域の実情に応じた特色産業の発展、農業の振興、貿易の推進、質の高い発展を促すべきである」といった発言をし、義烏の更なる発展を期待しました。

 

義烏市場は、中国と関係のある人なら知らない人はいないほど、国際的な日用雑貨品取引市場として知られている地域です。今年1月~7月、義烏の輸出入総額は3,211億元になり、そのうち輸出額は2837億元、輸入額は373億元、輸出をメインとしています。「世界の日用商品の首都」として世界230以上の国・地域と貿易を行っています。義烏は新型コロナウイルスのパンデミックを乗り越え、2023年第1四半期の1日当たりの来場者数は20万人で、うち外国人は2000人に達し、コロナ禍前の水準を取り戻しています。

 

義烏市場が活発な理由としてビジネス環境の良さが挙げられます。例えば、実店舗からオンラインへの転換は商品を扱う業者共通の選択ですが、2020年末にスタートしたオンラインプラットフォーム「Chinagoods」は、調達、出荷、税金申告、代金回収等の「ワンストップ」サービスのほかに、業者に国際倉庫、物流、決済、ブッキング等の貿易サービスも提供しています。このサービスは大変好評で、翌年2021年の商品取引額は168億元に達しました。また、業者の提案に基づき、さまざまな機能を付加実装し、「Chinagoods」のプラットフォーム上で取引データが同期されていれば、納品された後すぐに為替決済が可能になり、オフラインで別途手続きを踏む必要はなく、更に「Chinagoods」に商品をアップロードすると、6か国語のオンライン翻訳を利用することができます。

 

当地での会社設立登録の手続きも、市政府が開設したオンラインサービスを利用すれば、20分ほどで完了し、営業許可証は無料で送られてきます。また、義烏市政府は、起業後についても、企業側の問題点を速やかに把握するために、定期的に企業を訪問するだけでなく、各企業に専属担当者を1人配置し、企業側が相談をすれば、電話でアドバイスをしてもらえます。義烏市は外国の業者が多いため、独自の工夫として渉外紛争人民調停委員会(外調委)を設立、語学力に優れ、貿易に精通し、信用のある外国人をトラブルの調停に参加させて、これまでに1000件以上の調停に成功、トラブル解決の成功率は96%としています。

 

また、習近平国家主席が視察した義烏市李祖村は現在「国際文化創客(起業家村)」の建設に力を入れています。外観を改善し、特徴を掘り起こし、農業・文化・農村等に関連する観光プロジェクトを開発し、探求学習プロジェクトを中心に、ライブコマースを通して、新規事業案件を積極的に導入しています。観光客を誘致しながら、起業家の入居も積極的に行うことで村民の収入増や農村活性化につなげています。

 

中国が国策として「一帯一路」戦略を提唱して10年、中国と欧州を結ぶ国際定期貨物列車「義新欧(義烏-新疆-欧州)」中欧班列の営業範囲は、域外の国・地域は50カ国以上、160以上の都市に及び、アフリカや中東アジアとの取引も増加、外部との交流が益々広がっています。

 

義烏のビジネス環境において、今後も活況に成長していけるかは、義烏という町全体の、衣食住や交通のトレンドの変化をとらえ、精力的にイノベーションを起こし、世界に売り込んでいく姿勢が鍵になります。

 

新華社通信「中国浙江省義烏市が「国際文化メイカー村」に」等を参照・整理