現代生活において、スマホは常に片手に持つ、まさに携帯品となっています。そんな中、中国製スマホが勢いを増しています。アメリカの調査会社IDCの2024年4-6月スマホ中国国内市場シェアの調査によると、1位はvivo(ビボ)、2位がHuawei(Huawei(ファーウェイ))、3位OPPO(オッポ)、4位HONOR(オナー)、5位小米(シャオミ)、そして6位に米アップルとなりました。アップルは中国のスマホランキングでトップ5から脱落し、それに対して中国メーカーがトップ5を独占しています。今回トップに立ったビボの出荷台数は前年同期から17.1%増加しました。 Vivo(ビボ)は低?中価格帯の新製品が好調で、前四半期の5位から順位を大きく上げました。一方、米アップルは6位に転落、これは5年ぶりとのことです。
上位メーカーの中で最も伸び率が大きかったのはHuawei(ファーウェイ)で、同社の出荷台数は前年同期比50.2%増となっています。Huawei(ファーウェイ)はかつて、スマホ出荷台数で世界1位になったこともありましたが、2019年当時の米政権が同社を安全保障上の脅威として禁輸措置をとり、重要部品の供給制約を受けスマホの生産が減少、また低価格スマホ事業のオナーを売却し、Huawei(ファーウェイ)の中国におけるスマホシェアは2020年半ばには7%にまで低下しました。しかし、同社は半導体などの部品の中国国内開発を進め、2023年8月には、5Gへの接続機能や新しい半導体を市場投入、中国市場への復活を遂げています。
ここ数年のスマホ世界出荷台数シェア上位を見ていると、アップルとサムスン電子に続くのは中国メーカーの小米(シャオミ)とOPPO(オッポ)、更にビボや「Realme」(リアルミー)、「Transsion」(トランシオン)といった中国企業が続きます。いずれもアジアやアフリカなどの新興国を主体に事業展開して急成長を遂げています。また、日本市場においても、日本製スマホはほとんど目にしなくなり、かつては少なかった中国メーカーのスマホが、iPhoneと並んでしだいに目立つようになってきています。
中国スマホが新興国でシェアを拡大しているのには理由があります。所得が少ない新興国でスマホの販売を拡大しながら利益を得るには、スマホ自体の価格は抑えて数を多く販売する、薄利多売のビジネスが鍵を握ります。中国メーカーは自国に巨大な市場を抱えているのに加え、iPhoneをはじめとしたスマホを製造する工場が多く存在しています。スマホを大量生産・販売しやすく、新興国で力を持ちやすい環境が整っていたと言えます。
それに加え、世界規模で見た場合、中国以外のスマホメーカーがほぼ消滅している現実があります。かつてスマホ市場シェアトップ3に名を連ねていた韓国LGエレクトロニクスは長年スマホ事業で赤字が続き2021に撤退しました。モトローラ・モビリティは2度の売却の末にレノボ・グループ傘下となり、ソニーやAndroidでは老舗だった台湾企業HTCもスマホ事業を大幅に縮小させています。
その結果、中国メーカー以外世界市場で生き残ったのは、独自路線を進むアップルと、世界最大手であり規模の面で中国メーカーに唯一対抗できたサムスン電子くらいとなってしまいました。すでに中国メーカーが世界市場を席巻しているのが実状ですが、日本国民としては日本メーカーにも期待したいところです。
価格.comマガジン「コスパと技術力で圧倒する中国製スマホの強みと限界」等を参照・整理