中国製スマホは、高機能で安価で手に入れられることから、今や世界で高いシェアを占めている。XiaomiOPPOHuawei等は日本でも販売されている。よく言われる「中国製品は粗悪なので買わない」といった見方は、スマホに限っては当てはまらない。

しかし、最近、その中国スマホの出荷台数は減少傾向にあり、スマホ市場は飽和状態に近づき、スマホに対する消費者の需要は弱まっているといった見方が出てきている。数字を見ても歴然であり、2022年、中国市場向けスマホの出荷台数は28,580万台、前年比で13.2%減少し、10年ぶりに3億台割れとなった。通常1012月期はスマホ販売のかきいれ時であるが、2022年はコロナ禍の影響で年末商戦は不発に終わり、出荷低迷に拍車がかかり、20221012月期の出荷台数は、前年同期比12.6%減の7,290万台だった。

米調査会社のIDCによると、2022年通年のスマホ世界出荷台数は、前年比11.3%減の12億台だった。これは13年以来最も少ない台数である。221012月の世界スマホ出荷台数は3億台で、前年同期から18.3%減少した。6四半期連続の落ち込みで、減少幅は四半期として過去最大であり、221012月の出荷台数は前の四半期(79月期)をも下回った。中国スマホ市場の低迷は、世界全体にも影響を及ぼしている。

このように、昨年、中国スマホ市場は販売台数に停滞が見られたが、2023年は行動制限もなくなり国内景気は上向きになると見られているが、中国のスマホ市場はコロナ禍以前の2020年から継続的に減少傾向にあり、コロナの感染拡大はそれを加速したに過ぎず、すぐには回復していない。なぜか、現在、スマホ市場は均質化され、他のスマート端末の急速な発展や、スマート家電、スマートスピーカー等のデバイスの普及により、スマホの重要性が低下し、以前ほどの市場需要が見込めなくなったとの見方もある。このほかに、販売数が減少した原因は、国内スマホ市場の競争が激化し、市場が飽和状態にあること、買い替えサイクルの長期化、新製品イノベーションの欠如、5Gの推進、製品の過剰な性能によるコストアップ、所得の低下に伴う消費意欲の欠如等があげられる。

スマホメーカーは、自社製品の注目度を高めるため、次々と新製品を出し、中国では1年に2回のモデルチェンジが当たり前となっている。スマートフォンの新機種が1カ月あたり10機種以上発表されているが、代り映えのしない製品は消費者から見向きもされない傾向にある。今、「折り畳みスマホ」、「カメラ機能」、「ゲーム」という3つの分野が注目されているが、消費者はどう見ているのか。

中国市場、世界市場を問わず、スマホの出荷台数は減少し続けた2022年。今年、転換点を迎えられるかどうかは、依然として直面している「市場の飽和」、「技術革新の遅れ」、「性能の過大評価」、「収益の減少」等をどう解決するか、スマホ市場の動静は気になるところである。

(国際商報等を参考に整理)