近年、グローバル化を背景に、さまざまな人材が動態的に流動しており、海外移住する中国人も増加しています。新型コロナウイルスの影響はありますが、国連移民局が発表した「World Migration Report 2022」によると、中国から他国へ移民した人は約1,000万人、中国は世界四大の移民送出国の一つとなっています。

具体的な移民先を見ると、中国は米国への移民では第2位の移民送出国であり、カナダ・オーストラリア・ニュージーランド・英国への移民では、第1位の移民送出国です。また、ドイツへの留学生送出国としては、中国が第1位となっています。

しかし、中国移民が直面する問題も多々あります。例えば、ここ数年来、先進国の経済は相次いで回復していますが、失業問題は依然として厳しい状況にあります。また、就職した移民の中には、仕事の実施の需要よりも専門技能が高く、仕事と学んだ専門技能が一致しないような状態にある人も多くいます。就業していても、実際の能力や仕事の経験が十分に発揮されていないことも珍しくありません。

中国の国際移民受入国としての面を見てみると、中国も国際移民を受け入れるようになってきました。現在、主に韓国、米国、日本、ミャンマー、ベトナムなどから来た外国人約85万人が中国に住んでいます。中国の第7回全国国勢調査(2020年実施)の結果によると、登録されている外国人は 845,697人。目的は、77,008人が事業、444,336人が就職、219,761人が留学、419,517人が定住、74,735人が親族訪問、195,338人がその他となっています。

滞在地域分布をみると、外国人常駐人口の上位10省は、広東省418,509人、雲南省379,281人、上海市163,954 人、福建省106,248人、北京62,812人、江蘇省58,201人、浙江省46,189人、広西チワン族自治区26,043人、山東省21,829人、遼寧省20,562人となっています。

中国経済の急速な成長と低い生活コストが多くの国際移民を誘引しています。また、多くの多国籍企業や海外に進出している中国の国有企業に外国人従業員を雇用する機会があることや、賃金収入を見ると、アジアの中で中国は最も外国人に人気がある国であることなどが理由として挙げられます。中国政府の人材強国戦略の実施に伴い、各種の海外ハイレベル人材を引きつける計画、政策が続々と登場し、ハイレベル人材の中国在住者も増加しています。しかし、海外から人材を呼び込んだ後、その人材を引き留めるためには、世界トップクラスの産業構造と生態環境、コミュニティ環境などの整備が必要となってきています。

活発な国際移民の状況は、中国の移民政策に対して、中国国内の人材を引き留めることや、多国籍人材を引き付けることの二重の要求をもたらしています。他の先進国と比べて、中国の移民法律政策は依然として系統性、規範性、展望性では強くない状況にあり、今後、関連法律の制定などまだ多くの課題があり、今後、必要な整備をしていく状況があるといえます。

 (騰訊網などを参考に整理)