ビッグデータ産業とは、データの生成、収集、保存、加工、分析、サービスを主業務とする戦略的新興産業で、データ要素のポテンシャルを活性化する重要な支えとなり、経済社会の発展の質の変革、効率の変革、原動力の変革を加速する重要なエンジンとなるものです。中国の工業・情報化部(省)が2021年に発表した「第14次五カ年計画ビッグデータ産業発展計画」では、データに関する先端技術やデータ取引市場の育成を進め、国家のデータ安全を確実に保障することを骨子としており、2025年までに、中国のビッグデータ産業の市場規模は3兆元(約53兆円)を突破し、平均複合年間成長率は25%前後を維持し、イノベーション力が強く、付加価値が高く、独自コントロールが可能な、現代化されたビッグデータ産業システムをほぼ構築するとの見方を打ち出しました。
 
中国政府は、17年施行のインターネット安全法に加え、2021年にはデータ安全法、個人情報保護法を相次ぎ施行しました。3本の法律でデータの統制を強化して海外へのデータの持ち出しを厳しく制限しており、新たな五カ年計画でも外国の制裁などの影響を受けないビッグデータ産業体系の構築を目標に盛り込んでいます。
 
今や世界最先端のビッグデータ集積地となっている貴州省は、2013年に経済政策としてビッグテータに傾倒し始めました。まさに中国の「ビッグデータ元年」と呼ばれる節目の年です。貴州省は、夏も比較的涼しい気候であり、森林カバー率が49%で中国の中では空気がきれいな方です。また、洪水はほとんどなく、台風やハリケーン、大雪などの脅威もありません。さらに水資源も豊富だった点が、データセンターの設置条件に適しており、もともと中国最貧エリアだった貴州省は、クラウドによって変貌を遂げました。
 
そして、中国のビッグデータ産業が急速に台頭したのは、第13次五カ年計画(2016-2020年)期間です。試算によれば、ビッグデータ産業規模の平均複合年間成長率は30%を超え、20年には1兆元を突破し、産業の発展が著しい成果を上げています。第13次五カ年計画以来、北京・天津・河北、上海市、貴州省などにある8つの国家ビッグデータ総合試験区で先行テストが行われ、ビッグデータ分野の国家レベル新型工業化産業モデル拠点が11ヶ所建設・設置され、ビッグデータ産業の集積を力強く推進し、産業の集積によるモデル効果が著しく高まりました。
 
中国のビッグデータ市場規模は、2025年には54兆円になると言われています。データ資産データ資産の権利、その取引と流通、データ・セキュリティなどに関する制度の整備や標準化に取り組み、市場メカニズムに基づく価格形成の促進や、政府の管理・監督の目が行き届くデータ関連市場の仕組み作りが進められています。すでに北京市と上海市に「ビッグデータ取引所」が設立されました。工業情報化省はさらに、通信、金融、医療、交通、都市の治安管理、信用情報、社会保障など12分野の重点産業において、産業分野別のビッグデータ・プラットフォームを構築し、データの資産化と商品化を進める計画です。                
(人民網等を参考に整理)