黄酒は米・麦・とうもろこしなどの穀物を原料に、麹の力で糖化・発酵させて造られる醸造酒で、ビール、ワインと並ぶ世界最大の古酒です。酒色は、濃黄色や赤味をおびた黄色のものが多いことから「黄酒」と呼ばれ、黄酒の中でも長期熟成させたものを「老酒」とも呼びます。黄酒はそれぞれの地方独特の伝統的な方法によって醸造され、種類が非常に多く、一つ一つに独特の個性があります。その中で紹興酒は黄酒を代表する最高峰のお酒で、紹興黄酒、紹興老酒とも呼ばれています。紹興酒の醸造技術は2006年に無形文化遺産に認定されました。

黄酒

「黄酒の銘品・紹興酒」

アルコール度数1520度の紹興酒は黄酒の中でも銘酒と評価されています。主原料は糯米と麦麹、辣蓼草(からだて)、陳皮、肉桂、甘草などで作られた薬酒を用いています。紹興酒は『紹興市の名水と称される鑑湖の清水で仕込み、製造後3年以上の貯蔵熟成期間を経て製造したもの』という厳密な定義があります。また、現在では中国政府によって、紹興市以外の土地で作られたものは、「紹興酒」を名乗ってはいけないことになっています。漢方薬の薬引(塗り薬)としても使用されています。

一般に、紹興酒は鶏肉や鴨料理と相性がいいといわれていますが、熟成年数の違いで、合う料理が異なります。紹興酒はワインと同じように甘口から辛口の4種類に分かれています。糖分含有量によって香雪(甘口)、善醸(中甘)、加飯(中辛)、元紅(辛口)があり、市販されている紹興酒のほとんどは、加飯に分類される中辛が主です。

紹興の継承文化にかつて、娘が生まれたのを機に新酒の紹興酒の甕を地中に埋めて、娘が嫁ぐ日にそれを掘り起こして振舞われ、また絵付け(花彫)して嫁入り道具にしたという伝統があったため、紹興酒は「花彫酒」という別称で呼ばれることもあります。今日では、この花彫酒が長期熟成種の愛称としても使われ、この熟成の長さに応じた味わいの変化が紹興酒の魅力でもあります。

花彫酒

「独特の味わいをもつ嘉善黄酒」

嘉興市の嘉善県にも、特色ある銘酒「嘉善黄酒」や「西塘黄酒」があります。嘉善の醸造業は、明清時代には、すでに非常に発達しており、西塘には、歴史上多くの黄酒工房がありました。もち米と熟成した黄酒を原料とし、伝統的な製法と技術で冬に醸造されています。「嘉善黄酒」の酒色は黄色、透明で光沢があり、香りが豊かで甘く、まろやかで柔らかい半甘口の黄酒で、18種類のアミノ酸を含み、栄養価も豊富です。「西塘黄酒」も、まろやかで芳醇、独特の味わいがあります。