今回は、大学卒業後、寧波で生活するシングルの若い世代について、その生活スタイルや価値観を紹介します。

寧波大学をはじめ寧波にある総合大学には、全国から学生が集まってきます。彼らは大学卒業後、故郷や上海などの大都市で就職するのが一般的です。ところが最近は、そのまま寧波にとどまる人が増えています。寧波以外の出身で、大学進学をきっかけに故郷を離れて寧波に移り住み、寧波に就職して生活する人々。彼らは「新寧波人」と呼ばれています。なぜ寧波で暮らすのか。それは、住み心地がよい、就職のチャンスが多い、上海より家賃が安い、生活のストレスが小さい、街がきれいで清潔、安全で文化的など、さまざまな理由があるようです。でも実は、寧波には新しく来た人を受け入れる土壌があるのではないか、というのが「元祖寧波人」の考えです。寧波は、かつて「寧波幇」と呼ばれた商人集団が、発展の基礎を築きました。隋唐の時代から「通商口岸」であった寧波は、海外との接触が多く、海外の生活様式や考え方を受け入れてきました。そういう開放的な寧波人の気質が、若い世代に支持されているのだと思います。

さて、若い世代の一番の関心事は何かというと、それは結婚です。結婚は、唯一の選択肢ではありませんが、シングルでいる人はそれほど多くありません。大部分の若者は、30歳くらいまでには結婚したいと考えています。農村出身の場合は、春節で帰省した時、親や親戚が一斉に「結婚、結婚」とプレッシャーをかけるため、時期は早まります。いざ結婚となると、かつての日本のように、結婚式と披露宴は盛大です。高級ホテルや美しい庭園のある施設、屋外などで、親戚、友人、職場など200人以上の人々を招待して披露宴を行います。中には、隋唐時代の民族衣装である「漢服」で結婚式を挙げる人もいます。若い世代には、伝統文化を復活させたいという動きがあり、「漢服」はその象徴的な存在です。

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漢服で結婚式(新婦は寧波大学の卒業生)】

若い世代のブームは、猫を飼うことです。男女を問わず、シングルでも既婚でも、若者、特に20代は猫が大好きです。寧波には猫カフェが数多くあり、若い女性で満席です。猫カフェに通うだけでは飽き足らず、ネットショップで猫を買い求めて猫と暮らしている人もいます。寧波市内には、ペットショップだけでなく、動物病院もあるので安心して猫と暮らすことができるのです。都市生活を楽しむ「新寧波人」の活力が、寧波の原動力になっているのは間違いないでしょう。

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【猫とともに暮らす(寧波大学の卒業生)】

寄稿:寧波大学外国語学院外籍教師、静岡県立大学グローバル地域センター客員講師

   (静岡県日中友好協議会 交流推進員)横井 香織