中国鉄道局は、今年10月1日から紙媒体の切符と領収書を全面的に廃止し、電子切符・領収書へ切り替えた。中国の鉄道システムはさらに一歩、デジタル革命が進むことになった。
【中国鉄道ペーパーレス化の歩み】
中国鉄道における切符と領収書の完全電子化は、2018年に海南環島高速鉄道で試験的に導入されたeチケットから始まり、2020年には全国の普通列車に拡大した。乗客は有効な身分証明書を提示するだけで乗車できるようになり、紙の切符は「精算用領収書」としてのみ発行されるようになった。その後、2024年11月には、電子領収書が完全にデジタル化され、旅客は駅や代理店に足を運ぶことなくオンラインで領収書を取得できるようになった。さらに2025年10月には紙媒体の領収書が全面的に廃止され、鉄道システムは本格的にペーパーレス化へと移行した。
【領収書のデジタル化】
電子領収書は、2024年11月1日から完全にデジタル化された。旅客は実費精算の際、駅や販売代理店、セルフプリンターに足を運んで紙の領収書を印刷する必要がなくなり、オンラインで電子領収書を取得できるようになった。もっとも、利便性を考慮して移行期間が設けられ、2025年9月30日までは紙媒体と電子の両方が利用可能であった。紙媒体の全面廃止に対しては「高齢者が列車利用に不便を感じるのでは」との懸念も寄せられていた。ただし、切符そのものは廃止されるものの、旅客はセルフプリンターで発車時間、到着駅、座席番号、改札口など予約情報を印字した紙を引き続き入手できる。
【完全電子化の効果】
完全電子化には多方面での効果が期待される。まず環境面では、2023年の中国鉄道旅客輸送量36億8000万人を基に、切符1枚10gと仮定すると年間約3万6800トンの紙資源が節約され、膨大な樹木の伐採を防ぐことができる。次にガバナンス面では、電子発票システムが税務当局と直接連携するため、データの透明性と正確性が大幅に向上し、不正な経費精算のリスクを抑制できる。さらに効率面では、電子データは物理的な保管スペースを不要とし、検索や管理も容易である。紛失や破損のリスクもなくなり、企業経理の効率化に加え、個人の時間や手間の削減にもつながる。完全電子化の効果は多岐にわたる。
【完全電子化の課題】
一方で、完全電子化には課題も残されている。高齢者やデジタル機器に不慣れな利用者にとっては操作が難しく、利用に負担が生じる可能性がある。また、ネット環境やシステムに依存するため、障害発生時には乗車手続きが滞るリスクもある。さらに、紙の切符が「旅の記念」として残せなくなることを惜しむ声もある。こうした課題に対しては、セルフプリンターで予約情報を印字できる仕組みが残され、一定の補完策が講じられている。外国人利用者については、パスポートによる本人認証で乗車が可能となり、公式アプリ「鉄路12306」を通じて電子発票を取得できるようになっている。決済手段もアリペイやWeChat、国際クレジットカードに対応し、英語版アプリも提供されているため、利便性は大幅に改善されている。
総じて言えば、中国鉄道の完全電子化は、環境保護、ガバナンス強化、効率化を同時に実現する大きな転換点であり、デジタル革命の象徴的な一歩となった。ただし、高齢者や外国人利用者へのさらなる配慮、システム障害時の対応策、文化的価値の継承といった課題は今後も検討がされることを期待される。
Record China:「紙きっぷ廃止で資源削減、中国の鉄道が10月から電子版に統一」等を参照・整理