◆海南島で始まった試み
海南島は観光産業と熱帯農業を主要産業とし、中国国内における代表的なリゾート地として発展してきた。しかし、深セン・珠海・汕頭・厦門に続く第五の経済特区であるにもかかわらず、経済発展は相対的に遅れていると指摘されてきた。こうした状況を踏まえ、海南省政府は2025年12月18日より、海南自由貿易港全島において「封関運営(全島を税関管理下の特定区域として扱う制度)」を正式に開始した。この制度は、海南島の国際競争力を高め、自由貿易港としての機能を一層強化することを目的とした重要な施策である。
◆「封関運営」
南島全域を税関が監督する特定管理区域として扱い、区域内で関税ゼロなどの優遇政策を適用する仕組みである。「封関」は税関用語で、国境内にありながら関税対象外とする区域を意味する。本制度は、国外との境界線を指す「一線」と、中国大陸部との境界線を指す「二線」という二つの枠組みに基づいて運用される。一線においては、物品や資金、人員の移動が大幅に自由化され、国際貿易や投資がより円滑に行われるようになる。一方、二線においては、自由貿易港から大陸部へ移動する物品に対し、全国統一の税関管理が適用され、輸入規定に基づく手続きや関税・輸入税が課される。この仕組みにより、中国全体の貿易管理制度との整合性が確保される。
◆封関運営の開始後
制度効果は短期間で顕在化している。開始から1月10日までの間に、一線を通過した貨物量は約1万8,000トンに達し、ゼロ関税対象貨物の輸入額は4億6,000万元、免税額は6,212万8,000元となった。また、海南全島の輸出入総額は214億2,000万元となり、前年同期比で19.6%増加した。観光分野でも同様に顕著な伸びが見られ、外国人観光客が増加したほか、国内観光客の滞在日数も延び、ホテルの稼働率が上昇した。免税ショッピングの利用者数は58万5,000人に達し、前年同期比で32.4%増加した。売上額も38億9,000万元と大幅に伸び、前年同期比で49.6%増となった。1日平均の免税売上額は約1億6,000万元に達し、封関前の水準を上回っている。これらの動向から、貿易と観光の両面において封関運営の効果が着実に現れていることが確認できる。
◆今後の課題
海南省党委員会書記の馮飛氏は、貿易量の増加に対応するための通関手続きの利便性向上や、密輸・詐欺を防止するための監督体制の強化が必要であると指摘している。また、先進技術やイノベーション企業を誘致するための知的財産保護体制の整備、さらには熱帯の生態系や自然環境を保全するためのグリーン政策の推進も重要であるとされる。加えて、海南省の土地の約80%、人口の約40%が農村部に属することから、封関運営による経済成長の恩恵が農民の所得向上や地域住民の雇用機会の拡大につながるよう、包摂的な政策を進める必要がある。
総じて、海南島における封関運営は、国際貿易の自由化と国内制度との整合性を両立させる新たな取り組みであり、開始直後からその効果が明確に表れている。今後は、制度運用の高度化、産業誘致、環境保全、住民への利益還元をバランスよく進めることが、海南自由貿易港の持続的な発展に不可欠である。
中国経済新聞:海南自由貿易港、全島封関から1ヵ月等を参照・整理