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起死回生となるか、中国の「数字経済」

 毎年3月に開催される中国の全人代で、例年のように「全人代注目ワード」が話題になるが、今年の全人代で特に注目されたのが「数字経済」である。中国語で「デジタル経済」の意味だが、中国政府はこれを経済成長の新たなけん引役、エンジンにしようとしている。

 中国では、デジタル経済の中心となるインターネット市場は巨大であり、大勢の若いネットユーザーが支えている。デジタル経済は、一般的に情報通信技術(ICT)によって生み出された経済現象を指していて、インターネットビジネスやデータ関連サービスなども含まれると認識され、経済・社会の活性化の可能性を秘めており、イノベーションや、経済成長、社会の繁栄などに恩恵をもたらすと指摘する。

 また、BATと呼ばれる、インターネット業界の御三家であるバイドゥ、アリババ、テンセントがそれぞれ独自のプラットフォームを構築し、これらは業界全体と周辺ビジネスのインフラとして活用され、新しい分野においては、府は規制よりも企業による試行錯誤を優先させていることからデジタル経済の更なる発展に良い環境を与えている。

 2016年に浙江省杭州で開催された20カ国・地域首脳会議(G20)で、「G20デジタル経済発展と協力イニシアティブ」が発表され、翌年2017年3月に行われた全人代で李克強首相が「数字経済」という言葉が初めての政府活動報告に盛り込んだ。また、中国情報通信研究院公表の「2017中国デジタル経済発展ホワイトブック」によると、2016年の中国デジタル経済の規模は22.6兆元となり、国内総生産(GDP)総額に占める割合が30.3%に達したとみられる。

 デジタル経済は、雇用においても重要な役割を果たしている。2017年の同経済の就業者は1.7億人と、全就業者の22.1%を占める。産業別内訳をみると、農林水産業が79万人、鉱工業が5,054万人、サービス業が1億2,016万人となり、7割がサービス業に属し、2007年の就業者は4,411万人に過ぎなかったことから、デジタル経済は10年間で1.3億人の雇用を生み出したことになる。併せて中国では、年間100万人以上の理工系卒業生を生み出し、増加が顕著な理工系人材がデジタル経済発展の頭脳となっている。

 その一方、中国経済を取り巻く環境は変化し、今後は成長ペースが鈍化するとみられている。第一に、デジタル経済の発展に伴う「ギグエコノミー」)の拡大である。ギグエコノミーとは、インターネット経由での単発の仕事を請け負う働き方を意味し、先進国では多様な働き方を可能にする一方で、相対的貧困を生み出す温床になる。第二は、個人消費の減速であり、伸び率は2009年を境にほぼ一貫して鈍化しており、今後低調に推移すると見込まれる。第三に、デジタル経済の規範化を進める動きが強まり、政府の監視を強化した結果、一世を風靡したシェア自転車も市場が飽和すると同時に退会時に返ってくるはずの保証金が返金されないなどの問題が表面化し、淘汰期に突入した。

 このように爆速に発展するデジタル経済を代表とする「ニューエコノミー」に期待が高まっているが、一方で中国経済をめぐっては過剰生産や国有企業の改革など多くの課題を抱える「オールドエコノミー」の比重がまだかなり高く、成長性をめぐってはニューエコノミーとオールドエコノミーとで明暗が分かれているが、「数字経済」に代表されるニューエコノミーが中国経済の救世主になるかどうかは未知数であり、予断できない。

 

*毎経ネット、新華ネット等の記事を整理編集


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