中国の成長モデルは、ここ数年では、地方政府が民間企業の少数株主となって事業に参画する事例が増えてきています。純国有でも純民間でもない、『灰色所有構造』が流行っており、中でも「合肥モデル」は、地域の特性を生かした投資運営方法で、高い投資収益率と資産効率を実現、成功していることから注目されています。「合肥モデル」は、中国東部の安徽省合肥市の政府系ファンド・新企業所有形態を指します。


「合肥市」は、今では巧みな投資誘致手法により人口約500万人の活気ある大都市に変貌しました。特に2010年から2020年までの10年間、研究インフラへの投資を加速して、多くの研究者を呼び込むことに成功し、中国でも指折りの「サイエンスシティ」として成長し、合肥市に開設された研究開発施設は1,000以上あるといわれています。合肥市の域内総生産(GDP)は、2,700億元から1兆元に増え、全国ランキングでは20位となり、目覚ましい伸びがあります。


合肥市政府が、初めて民間企業への出資を成功させたのは、電子ディスプレイメーカーの京東方科技集団(BOEテクノロジー・グループ)への投資です。2008年の金融危機後にBOEがトラブルを抱えると、11年までに18%出資し、同社は最先端の液晶ディスプレイ(LCD)スクリーン工場を建設しました。合肥市は、その後もBOEへの投資を継続し、別の新工場建設を支援するとともに利益を確保しました。その結果、同社は、合肥市に数万人単位の雇用をもたらしました。今や年間生産額は400億元以上に達し、合肥市を世界最大のディスプレイ基地の1つに押し上げました。


また、合肥では、新エネルギー車への投資も行われてきました。EVメーカー「NIO」やフォルクスワーゲンなどの企業を引き入れ、その上で、合肥市は相次いで50以上のプロジェクトに投資しました。新エネルギー自動車の総投資は500億を超え、産業チェーン企業120社以上を集めることに成功しました。現在、合肥では、新エネルギー車業界の完成車、重要部品、アプリケーション及び関連するサポート企業がすべてあり、全省の新エネルギー自動車の販売台数は全国の12%以上を占めています。


そのほかに、ハイテク産業と科学革新企業の育成もしています。2018年3月には、合肥市のハイテク産業開発特区内に「合肥・人工知能AI産業パーク」が登場しました。この産業パークでは、音声認識、脳型人工知能、量子人工知能、ビッグデータ分野のクラスターを生み出し、各クラスターの売り上げ規模を1,000億元に高める計画です。中国の音声認識市場でシェア80%を誇るといわれている科大訊飛(iFlytek)も、合肥市から誕生した人工知能企業です。この産業開発特区には、既に200社近い人工知能企業が拠点を構えているといわれています。2020年、合肥市のハイテク産業の生産額は18.8%、付加価値は16.7%増加し、過去5年間で最高を記録しました。


今や合肥市は、テクノロジー研究開発の重要拠点である北京、上海、深センなどに次ぐ、中国の先端サイエンス都市となりました。中国の四大教育拠点の一つにも数えられ、人工知能、核物理、量子力学などさまざまな分野の研究環境が整い、多くの研究者が集まってきています。合肥は上海に次ぐ中国2番目の総合的国家級科学中心地となり、今後も情報通信、エネルギー、ヘルスケア、環境のほか、量子コミュニケーション、核融合、スモッグ対策、がん治療などの研究が計画されています。

(華夏時報などを参考に整理)