中国で今、Z世代(1990年後半〜2000年代に生まれた世代)を中心に、中国ブランドを身に着け、中国的な要素が入った着こなしをする若者が増えています。こうしたトレンドを「国潮(グオチャオ)」といいます。その中心は「漢服」であり、民族衣装の漢服愛好家と漢服市場の規模が急速に増えています。「漢服」とは、中国人口の9割以上を占める漢民族の伝統的な服装を意味し、漢族の染め、織り、刺繍の優れた職人技と美意識を伝え、中国の伝統文化を象徴しています。主に漢代、唐代、宋代、明代のものがあり、それぞれデザインや色等に特徴があります。衣服は上下に分かれ、スカートのように裾が広がっており、漢服にあわせる髪形は、お団子頭のようなもの等様々であり、かつらをかぶることもあり、また布の靴を履き、扇子や笛のような小道具、かんざしのような髪飾り等も使います。


「漢服」は、元々人気女優らが出演する宮廷ドラマの衣装として注目されましたが、中国の伝統的な要素にオリジナリティーを取り入れた「国潮」と呼ばれるファッションがトレンドになり、その波に乗って「漢服」が注目を集め、伝統文化を明らかにする漢服の人気が高まり、漢服市場は爆発的な広がりを見せています。現在、『国潮3.0』時代に突入し、国潮は国産品のほか、中国文化、中国科学技術も全面的に台頭し、国潮の主力である若い世代の間で流行している「漢服」は、現代的なデザイン要素を取り込んでいますが、襟や帯、右衽(うじん・左側の襟を上にして交差すること)、幅広の袖、長袍(男性用の長い胴着)、馬面裙(女性用スカート)等の伝統を受け継ぎ、新しい漢服ブランドも次々に生まれ、例えば、主なブランド「漢尚華蓮」、「重回漢唐」、「十三余」が知られています。


「漢服市場規模」はここ数年成長スピードが極めて速く、データによると2019年以降、驚くべきスピードで成長しています。2015年の漢服市場規模はわずか1.9億元でしたが、2019年には45.2億元になり、2020年には、コロナの影響がありましたが、市場規模は63.6億元になりました。調査会社がまとめた2021年報告書によると、漢服愛好者の増加率は4年連続で70%を超え、中国漢服市場の売上高も100億元を超えました。そのため、関連企業も増加傾向にあり、現時点で名称に「漢服、漢代服飾、漢代服装、漢衣冠」が含まれる、または経営範囲もしくは製品・サービスに「漢服、華服、漢装、漢代服飾、漢代服装」が含まれ、企業状態が経営中・存続・登記機関転入・登記機関転出にある漢服関連企業は3400社以上あり、そのうち自営業者の4分の3、有限責任公司の5分の1近くが設立から5年以内の企業が8割近くを占めています。


中国国内の四大漢服生産基地は杭州市、成都市、広州市、山東省か沢市曹県であり、その中で最も生産が多い山東省か沢市曹県は、漢服仕入れと販売の産業チェーン業者2000社、オリジナル漢服加工企業600社の規模を有し、オリジナル漢服の売上高は全国同類市場の3分の1を占めています。今や、漢服愛好家は約700万人に上ると言われ、各地で漢服のファッションショーも行われ、観光地だけでなく、市街地や住宅街でも漢服を着ている人が珍しくなくなりました。統計データによると、「漢服」に注目している「漢服マニア」が多い都市トップ5は、北京市、上海市、成都市、杭州市、広州市で、漢服マニアのうち女性は59%、男性は41%をそれぞれ占めています。
人口に対する漢服愛好家数は、相対的に小規模な層ですが、支える消費の規模は大きく、この層の消費力と消費意欲の高さ、ロイヤルティーの高さをうかがうことができ、今後の市場には、引き続き大きな発展の可能性があると見られています。

(前瞻産業研究院等を参考に整理)