中国での死者の葬り方は、民族ごとに土葬・火葬・水葬・鳥葬など伝統的な方式が多様にあり、人口の大部分を占める漢民族は、儒教の影響から、伝統的に土葬が中心でした。それが、1950年代に毛沢東が始めた「殯葬改革(ひんそうかいかく)」といわれる葬儀改革によって、国策として、土葬から火葬へと切り替えられました。殯葬改革により、土地や棺材の浪費を抑えられる火葬が主流となり、現在、さらに改革を進めていて、「緑の葬式」と称する、海洋葬、芝生葬、樹木葬、花葬などの自然葬を普及させようと力を入れています。

こうした背景には、中国の深刻な墓地不足の問題があります。中国は広大な土地を有する国ですが、人口も多く、多くの土地は山などが多く平地ではないため、墓地として利用できる土地は限られています。さらに中国では、先祖代々の墓という概念がなく、中国では個人や夫婦墓が多いため、墓地の増え方も加速度的です。また、中国は私有の土地は存在せず、都市部の土地は国のもの、農村部の土地は、その地域の農民の共同所有であるため、土地の売買といわれる商行為は、所有権ではなく、使用権の売買となっています。よって、永代供養ができる土地は、そもそも存在しません。近年では、墓地の価格も高騰しているため、さまざまな埋葬方法が検討されています。

コロナ禍では感染予防のために、各地で新しい墓参りのスタイルとして、時期をずらしてインターネットで事前予約する「オフピーク墓参り」や、代行を依頼する「代理人墓参り」、ネット上で先祖を祭る「バーチャル墓参り」なども広まりました。自宅にいながらネット空間で行う「バーチャル墓参り」は、北京や四川省、広東省、甘粛省など各地の行政の民政部門が始めています。市民は、ネット上の墓参りサイトで申請すると、亡くなった家族の「記念館」をつくることができ、「祭る」「献花」「メッセージを残す」などの儀式を、すべてネット上で執り行うことができます。

中国の葬祭業界トップの福寿園国際集団有限公司も新しいサービスを次々と生み出しており、イノベーション企業としての一面も持っています。コロナ禍に普及した葬儀サービスのクラウド化、オンラインでの葬儀やオンライン法事などは、アフターコロナにおいても、新たな需要の獲得ツールとして機能すると考えられます。地価の高く墓地の確保が難しい上海などでは、一人当たりの区画が50平方センチ程度で、遺骨は二度にわたり高温で焼結させ、小さな水晶状の位置にして埋葬するような最先端のお墓もあり、一人当たりの墓地を大幅に小さくする技術も取り入れられています。

中国、台湾、香港などの中華圏では、春分の日から15日目の「清明節」と呼ばれる祝日は死者を弔う日で、お墓を掃除して先祖供養をします。お墓参りでは、鶏や豚肉、揚げ豆腐、米飯、酒、茶あるいは香燭(こうしょく)を供え、「亡くなった家族が死後の世界でも暮らしに困らないように」という願いをこめて、紙幣に似せて作った紙のお金「紙銭」と呼ばれる冥土の紙幣を焼く風習があります。また、どんなことがあっても家族全員でお墓参りへ行き、そのあとは、墓前で大宴会を行い、その場でお供え物などのご馳走を食べる習慣があるため、お墓の周りには宴会用のスペースが広く設けられています。しかし、最近では、火災防止や環境への配慮で、「紙銭」と呼ばれる冥土の紙幣を焼く風習が禁止される地域も出てきて、ライフスタイルの変化につれて、中国のお墓事情も変化しつつあります。              

(信用家装修網等を参考に整理)