中国では、2000年代に入り、経済成長を背景に、富裕層の間で骨董品や古書籍の収集がブームとなっています。不動産と同様に、投資目的で購入するケースも多くあります。中国では1966〜76年の文化大革命で、美術品は「打破すべき旧時代の文化」とされ破壊されました。その際、骨董品を破壊から守るために中国国外の美術館や博物館、古物商に送られ、中国国内には骨董品が品薄状態にあるため、世界のオークション会場で中国人が骨董品を買い戻す動きが広がっています。


文化大革命の頃や戦時中に中国へ渡っていた人が購入し、日本に持ち込まれた骨董品も数多くあります。高齢化した所有者の生前整理や相続などをきっかけに売りに出され古物市場に出回った品を目当てに、コロナ前は中国人バイヤーが来日し、買い付けに熱を上げていました。日本に残る品々は「保存状態がよく偽物も少ない」と評判で、日本で人気の骨董品は陶磁器、絵画、刀剣などですが、中国では筆、墨、硯なども非常に人気があります。そのため日本では中国の相場よりも安く、筆、硯、紙、硯を購入できる可能性が高く、転売目的のバイヤーも日本の骨董品市場やオークションに参加するなど、中国骨董品の買取ブームが起きています。


中国には古くから骨董品市場が多くあります。例えば、北京の朝陽区にある潘家園旧貨市場は、中国国内でも最大級規模の中古市場で、その広さは、48,500平方メートルにも及びます。最大の特徴は、露店市場という点で、書画や磁器などの骨董や上海で使われていた外国製の中古レコード・プレイヤー、ヨーロッパの18世紀のアンティーク時計など各地から集められたものが売られています。中国で「古玩」と呼ばれている文物を扱う屋台が3,000以上あり、中国の24の省、市、自治区で、漢族、回族など10以上の民族がここに露店を出しています。年代物の家具や彫像、書画、古書籍、切手などが売られている潘家園の骨董市は、古き中国の文化を伝えています。しかし、この市場の骨董品の多くが模造品です。模造品は古くから存在していますが、数が少なく、多くの人々に好まれる珍しいものであれば、模造品の需要はありました。人々の需要を満たすという視点から見れば、模造品にも価値があるとされ、中華民族の伝統的工芸技術のレベルの向上と伝承を示すものでもあります。


近年では、eコマース(電子商取引) が急激に広がり、潘家園の骨董商人たちもオンライン販売やインターネットのライブ配信に力を入れています。公式サイトの潘家園網は、美術品、工芸品、収集品の取引、専門家の相談、フォーラムの交流を統合した芸術作品とコレクションの専門的なショッピングプラットフォームとなっています。オンライン取引、オンラインオークション、オンライン注文など多くの機能を持っているだけでなく、サイトのフォーラムのコーナーには、北大宝石貴金属鑑定センターなどの業界内の幅広い分野の専門家が入居しています。また、「掘り出し物市」「1元からの低価格オークション」などのイベントを行い、来場者に骨董文化の魅力と買い物の楽しさを伝えようとしています。


中国人による海外での骨董購入ブームの波は、日本の骨董市場にも活力を与えています。日本では不景気のために2000年頃から国内の買い手の数が急激に減りましたが、逆に中国からの問合せは増加し、現在の日本の骨董業界を支えているのは、中国人富裕層です。新型コロナウイルスが2020年大流行した際、中国国内の市場は中断を余儀なくされ、日本でも骨董市等が一斉にストップしましたが、最近はだいぶ回復し、中国のバイヤーも、再び骨董品を盛んに買うようになりました。今後も中国の骨董品購入ブームは続くと考えられます。

(人民中国等を参考に整理)