今回は、寧波で多忙な日々を送る40代から50代の働き盛りの人々を対象に、その生活スタイルや価値観を紹介します。 

この世代の人々の一番の関心事は、子どもの教育です。小・中・高校生の子どもをもつ親世代は、子どもが小学校に入学したときから、山積みの宿題に取り組み、塾通いで成績をアップさせて重点学校に進学させ、安定した就職先にたどり着くまで、子どもをサポートすることに追われます。親たちはわが子が、できれば公務員や教員、銀行に就職してほしいと願い、そのために塾や習い事、留学、大学院進学などに、多額の教育費を投入してきました。

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夜8時半 中学校前で子どもの帰りを待つ親たち

ところが、今年度9月から、中国では新しく教育の「双減」政策が始まり、親たちの生活に変化が表れています。「双減」とは、宿題を減らす=子供の負担を減らすことと、教育費を減らす=親の負担を減らすことです。実際にどのような変化があるのか、同僚に尋ねてみると…。「これまで午後5時頃帰宅していた中学生の息子が、毎晩8時半まで学校で自習することになった。」というのです。土曜日も塾ではなく、学校で勉強することになりました。親は、毎晩8時半に学校へ子どもを迎えに行く日々が始まりました。親の時間的経済的負担は減ったと、多くの親は歓迎しています。子どもの負担はどうでしょうか…。


寧波に限らず中国の中学校や高校には、日本の部活動のような課外活動がないため、週末になると子どもをサッカーチームに参加させたり、ピアノや英会話などに通わせたりしています。私の同僚は家族で日曜日の午後、寧波市街地から15キロほどのところにある東銭湖でカヌー教室に参加しています。また、長期休暇のときには、車で家族旅行に出かけています。子どもに勉強だけでなく多くの経験を積ませるためには、親が情報を収集し親もいっしょになって動くことが求められるわけです。

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週末に参加しているカヌー教室


さらに、働きざかりの世代が抱える問題に、親の介護や看病があります。いずこも同じです。親との同居は半分くらいで、別居の場合もすぐ近くに住むことがほとんどです。40代50代、とりわけこの世代の女性は、子どもや夫の世話、親の介護など、超多忙で大きなストレスを抱えています。でも、私から見ると、とてもエネルギッシュでたくましいと感じます。子どもの成長を楽しみにしながら、ときどき同世代の友人とおしゃべりしてリフレッシュし、多忙な日常に戻っていく、この世代の人々が、現在の中国社会をけん引しているのは、間違いありません。

寄稿:寧波大学外国語学院外籍教師、静岡県立大学グローバル地域センター客員講師

   (静岡県日中友好協議会 交流推進員)横井 香織

横井香織さん