パンダ:開発と保護の狭間で

ジャイアントパンダは、絶滅のおそれのある哺乳類です。1970年代、生息数は約1,000頭とされ、中国政府は危機的状況にあると警告しました。ワシントン条約や中国政府の保護対策により、2000年代には、約1,600頭と若干頭数が増加しましたが、依然、絶滅の脅威は続いています。パンダの生息地は、竹が育つ標高1,200〜3,400mの高地に限られており、竹が森の低層を形成しているチベット高原の東端、中国西部の温帯山地林が生息環境です。
中国の経済成長に伴い、森林伐採や道路建設、自然災害などの影響で、生息環境は劣化しています。主に、中国西部の山間部で小さな個体群ごとに分断された状態で生息しています。また、出産頻度は高くなく、1度の出産で生まれるパンダはたいてい1頭で、野生の頭数は少ない状況にあり、このままでは各個体群で少子化と頭数減少が懸念されています。
中国では今、「国宝」でもあるパンダを守るため、パンダを保護し、繁殖を進めるための広大な「国立パンダ公園」計画が進んでいます。中国の環境部門は2017年から「パンダ国家公園試行計画」を実施し、エリア内の新たな採鉱や林地の占用、保護計画に適合しない建物を作ることを禁止し、山、河川、森林、農地、湖、草原を保全しています。国立パンダ公園は四川、陝西、甘粛の3省にまたがり、面積は2万7100平方キロ。既存のパンダ保護区や、その他の自然保護区をつなげて拡大したもので、米イエローストーン国立公園の3倍近い面積となる予定です。
このエリアには、野生のパンダ1629頭が生息しています。新たに誕生する広大な国立パンダ公園は、分断された生息地を接続し、個体群同士をつなげることを目指しています。これにより、パンダたちは繁殖相手を見つけやすくなり、遺伝的多様性も保たれるようになり、また気候の変動で主食の竹がある地域で減少しても、他の場所に移動しやすくなります。公園整備に関する予算は、今後5年で少なくとも100億元(約1530億円)と見込まれています。「国立パンダ公園」は、中国でパンダの暮らしを守り、世界のパンダファンに笑顔をもたらす存在となりそうです。
日本にいるパンダは、いずれも中国から「貸与されている」ものです。日本で生まれたパンダもいますが、それも所有権は中国側にあります。東京・上野動物園で生まれた「シャンシャン(香香、Xiang Xiang)」は観光客のアイドルとなっており、2019年6月に中国に返還する予定でしたが、1年半延期されました。それでも、2020年末に返還されることが決まっています。
中国は諸外国と友好関係を推進する際、その象徴としてパンダを貸与して、「パンダ外交」を展開していますが、この「中国の顔」であるパンダは国際舞台でも欠かせない存在ですが、開発と保護に揺れる悩ましい存在でもあります。

(AFPBB News等を参考の整理)