寧波の桂花、樟木

中国は広大で、地域によって自然環境も食文化も言葉も異なります。浙江省は中国の南方に位置しており、水が豊かでたくさんの樹木や花であふれています。静岡とは少し趣の違う寧波の自然の美しい景色や風物を紹介します。

日本で花といえば、桜や梅を思い浮かべる人が多いでしょうか。寧波にも桜公園があり、春には多くの人が訪れます。寧波人の同僚、宋先生に「花といえば、桜ですか」と聞いたところ、「それは桂花ですね」と返ってきました。桂花(日本名はモクセイ)には丹桂、金桂、銀桂、四季桂の4種類があり、どれも甘い香りを漂わせます。寧波市内の保国寺には、なんと3000株もの桂花があり、寧波の人々を楽しませています。

寧波の人達は、桂花を見て楽しむだけではありません。桂花茶、糖桂花(桂花ジャム)、桂花酒、桂花(餅)、桂花山薬(ヤマイモ)等、桂花の花を使ったグルメを味わいますし、豚の角煮に桂花の花を入れたり、寧波のスイーツ、湯圓(タンユアン)にも花びらを散りばめたりします。見てよし、食べてよし、香りもよし。甘く香る桂花は、寧波人の心に深くしみいる特別な存在なのです。

キンモクセイ
湯圓
【金桂(桂花の一種)】 【寧波のスイーツ、湯圓】

もう一つは、寧波のあちこちに見られる樹木に樟木(クスノキ)があります。1984年9月に、寧波市の市樹に認定されました。樟木は常緑樹ですが、新緑の季節になると、前年の葉が赤色になって落ちます。花は黄緑色で、緑の実が熟すると黒紫色になります。樟木の精油は樟脳で、日本でも防虫剤として古くから使われてきました。

寧波で最も古い樟木、樹齢1200〜1500年の樟木が寧波の寧海前童竹林村にあります。私が勤務する寧波大学の構内にも樟木が生い茂っています。この木が好きでたまらないという鳥がいます。白鷺です。毎年、春になると群れでやってきて樟木に巣を作り、卵を産んで子育てを始めます。白鷺にはどうやらお気に入りの木があるらしく、1本の木に10個以上の巣が作られ、20羽以上の白鷺が見られることがあります。そのため、樟木の下を歩くときは要注意!晴れていても、傘は必需品です。白鷺は、樟木の下を歩く人間に容赦なくフンをまき散らすからです。群れでやってきた白鷺は、樟木の実や大学の南に流れる甬江の小魚をえさに子育てをして、秋には再び群れで飛び立っていきます。樟木と白鷺は、寧波大学の春から秋にかけて見られる『風物詩』になっています。

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【寧海前童竹林村の樟木】

 寄稿:寧波大学外国語学院外籍教師、静岡県立大学グローバル地域センター客員講師

   (静岡県日中友好協議会 交流推進員)横井 香織

横井香織さん