新風景:本屋さんの「書店+」

中国では、今、国をあげて「全民閲読活動」を推奨している。これは、国民の資質・知性教養、文化水準の向上を目指して行っている読書活動である。この活動は、2006年にスタートしたが、習近平政権になってからは更に活発化し、具体的な施策として、補助金や税制優遇で書店の経営を支援している。一部の書店の家賃は、デパートの普通賃貸料の10%しかなく、一部は完全に無料となっている。中国では毎年500〜600のショッピングモールが開業しているが、書店が入居していると、文化的なイメージアップにつながり人が集まることから、オーナーもモール内に書店を配置する傾向にある。政府や投資機関の資金支援は、実体書店の拡大を支えており、今や書店はショッピングセンターモールの定番となっている。

 

 中国での書籍売上は、経済成長と同歩調で毎年成長している。2019年の全国図書小売市場規模は引き続き増加を維持し、売上高は前年比14.4%増、1022億元に達し、千億元の大台にのった。統計結果によると、中国国民の紙の書籍や新聞・電子書籍を含む2019年の成人総合閲読率は81.1%となり、前年の80.8%から0.3ポイント上昇した。電子書籍の接触率は、79.3%となり、前年の76.2%から3.1ポイント上昇。図書の閲読率は59.3%となり、前年の59.0%から0.3ポイント上昇した。紙媒体の書籍に比べ、電子書籍は数年前に比べ依然として増加傾向にあり、電子書籍の発展は、紙の書籍の読書率の成長率を減速させている。そのため実体書店は、単品では差別化できない書籍を並べているだけでは、Eコマースとの勝負に勝てないので、カフェを併設したり、文房具や雑貨も売ったりする複合型書店がどんどん増えている。最近では、更に発展した「書店+」のモデルが、本格的な書店の基調になってきている。

 

 「書店+」とは、「図書+カルチャクリエイティブ産業+カフェ+サロン」のモデルに、付加サービスが加わったものである。例えば「本屋+美術館」のコラボモデルに、明珠美術館と新華書店を組み合わせた「光の空間」がある。これは、中国でも人気がある安藤忠雄がデザインした書店であり、天井まで伸びた書棚とコンクリートのコントラストが映える空間になっている。「書店+旅行」のコラボモデルに、農村部の古民家を改修して書店を作り、現在は名所となった、南京の先峰書店がある。西安には、民宿を兼ねた書店があり、都会に住む人を農村部へ呼び込むと共に、書店が乏しかった地域にも増やしていこうという動きがある。他にも「鐘書閣」や「言幾又」等、写真映えする内装やディスプレイを持つ書店もある。これらは、中国の消費をリードしている若い女性に人気であり、SNSに多くの写真がアップされている。こうした多様な経営を誇る「書店+」の新式書店は、多くの観光客を集め、人気スポットとなっている。上海の「志達書店」は、アリババの技術を導入した無人化書店がある。顔認証で開錠して入店、顔認証決済システムを起動し、退店時に自動決済される仕組みで運営されている。まだ現在はシステムのエラーも多いが、新技術を駆使して、書店の未来を模索する書店も出てきている。

 

中国は、モノからコトへ消費の形が変わっている。その象徴として、カフェやイベント等を併設した複合型書店が新時代の生活にマッチしており、今後、書店コラボモデルは更に発展していくとみられる。  

(銀川晩報等を参考に整理)