急成長する「ソーシャルコマース」

中国小売業界では今、網紅(ワンホン)と呼ばれる動画をメインとして情報発信をするインフルエンサーや、KOL(Key Opinion Leader)と呼ばれる、特定の分野やトピックに対し専門知識を持ったインフルエンサーが、SNSやライブ動画配信を通して商品やサービスを紹介し、販売促進を行う手法が多用されている。「ソーシャルコマース」(中国語で“社会電商”)とは、InstagramやFacebookなどのSNSを利用したEコマースのやり方である。中国では、微信、微博、QQ、生放送、短動画などのソーシャルツールが使われている。

 

2018年、中国のネット小売市場規模は9兆元、ソーシャルコマース市場規模は1兆2624.7億元で、ネット小売取引全体の規模は14%を占め、2019年の中国のソーシャルコマース市場規模は2兆605.8億元に達する見込み。2018年より63.2%伸び、ソーシャルコマース消費者数は5.12億人に達し、ECの主力軍となってきている。

 

中国における「ソーシャルコマース」は、団購(共同購入)型、会員制購入型、コミュニティ購入型、コンテンツ購入型と、大きく4つのモデルがある。

団購(共同購入)型:商品のクーポンが発行され、消費者が集まってまとめ買いをすることで割引となる共同購入。「多多」など。急速に落ち込んだ市場シェアを占め、阿里と京東に次ぐ中国第三位のECプラットフォームとなっている。

会員制購入型:SNSで情報をシェアして商品が売れたらマージンがもらえる仕組み。消費者の広い人脈を利用して、商品の普及と流量の獲得ができる利点があるが、流通の仕組みがマルチ商法に類似しており、この販売モデルの合法性について論争がある。「雲集」「貝店」など。

コミュニティ購入型:地域の友人や知人などへ消費者が情報を拡散して友達を集め、まとめ買いの人数が集まると割引価格で購入できる仕組み。「我」など。

コンテンツ購入型:商品の写真やテキストなどのコンテンツを、インフルエンサーがおしゃれに作りこんでSNSでシェアする方法。「小紅書」など。

 

新型コロナウィルス感染拡大の影響により、小売市場は落ち込みが激しいが、その中でECは成長を遂げており、1〜4月のEC物販総額は、前年同期比7.8%増加した。また中国では「ライブ配信販売」が急速に普及している。「ライブ配信販売」とは、インターネットでの商品販売において、リアルタイム動画をユーザーへ送ること。当初は、ライブ配信販売を行う企業は、EC店舗や中小メーカーで、キャスターは店舗店員、KOL、KOC(Key opinion Consumer/一般人だが、比較的フォロワーが多い人)やモデルなどだったが、最近では多くの大手メーカー、実店舗を展開する小売企業なども参入し、キャスターも芸能人や企業トップなどが登場するようになってきた。

 

新型コロナを契機に、小売業界の様相は一変し、その位置付けや活用方法は刻々と変化している。最近では、ライブ配信を売上拡大ツールとしてではなく、顧客とのコミュニケーションやマーケティングツールとして活用し、実店舗に誘導するきっかけとして活用する動きも出始めている。

(前瞻産業研究院HP等を参考に整理)