ニュートレンド期にある中国映画

 中国映画は、新世代の青年監督がつくる新しいトレンド期にあり、今やアメリカと肩を並べるほどの産業規模となっている。上映数は世界で一番多く、観客動員数、映画の制作本数、興行収入は世界で2番目に多い。中国の年間興行収入では、2019年は前年より5.4%増加、642憶6,600万元(約1兆円)となり、歴代記録を更新している。  

 中国のアニメ業界も急成長しており、2019年の国産アニメ映画「ナ之魔童降世〈Ne Zha(英題)〉」は、50億元越えの興行を記録し、中国映画興行収入歴代2位となった。他にも「羅小黒戦記〈The Legend of Hei(英題)〉」、「白蛇伝説〈White Snake(英題)〉」等大ヒットする作品が出てきており、今後、中国国産アニメは絶頂期へと突入していく可能性がある。  

 また、新世代の青年映画監督も活躍しはじめている。青年監督支援機構によると、中国映画に期待して参入する資本、市場拡大が製品にもたらす巨大な成長空間や、映画人材形成ルートの多元化等の要素により、青年監督が成長し、中国映画市場に種類の豊富な映画を提供し、国産映画の競争力を高めているとみている。更に、映画制作を学べる機関が多様化し、2000年以降各地の地方の大学に映画学部ができたことから、新世代の青年監督は、北京電影学院、中央戯劇学院等の伝統的な大学に限らず、地元の大学で学んだ人や、海外で学んだ人もいる。様々な環境で学んだ青年監督は、撮影場所に、大都市ではなく内陸部の田舎を選び、映画作品に地方の視点を取り入れている。例えば、「路邊野餐〈Kaili  Blues(英題)〉」、「地球最後的夜晩〈LONG DAY'S JOURNEY INTO NIGHT(英題)〉」で、いま注目を集めている若手監督のビー・ガン氏は、少数民族が多く住む自分の故郷を舞台として映画を制作している。個人の視点から社会を見つめ、都会とは大きくことなる田舎の現実や歴史と向き合って映画制作に励むようになってきている。  

 青年監督が急速に成長してきた要素の一つとして「青年監督支援政策」と「様々な青年監督支援プラットフォーム」があげられ、経済成長により市場が拡大し、映画への投資が増え、動画配信も普及し、地方でも映画製作資金が集まるようになっており、才能発掘の場も増えてきた。  

 その一方で、中国における映画作品の検閲は、さらに厳しくなってきている。2019年第69回ベルリン国際映画祭で出品した、張芸謀監督の新作「一秒鐘〈One Second(英題)〉」を含めた2作が“技術的問題”として、中国国内での上映が中止となり、現在でも中国国内での公開は実現していない。その他にも上映中止になった作品は数多くあり、“技術的問題”が2019年の中国映画市場を象徴するキーワードの一つになっている。他にも「興収、動員の前年比が毎年下がっている」という問題点もある。興収では、17年は22.3%、18年は9.1%、19年は5.4%となっており、マーケットが飽和状態に近づいていることを示している。最近では、新型コロナウイルスの影響や、国内経済の下振れ、大企業の映画界離脱、検閲の壁等不安定な要素は、今後の中国映画界に大きな影響を与える可能性がある。

(光明日報等を参考に整理)