生け花・盆栽が普段の生活に

中国人の知人の家を訪ねると、どのお宅にもサンルームのように太陽光が入るスペースがあり,そこにはいくつもの花や観葉植物が置かれています。最近は、鉢植えに飽き足らず、日本の伝統文化である生け花や盆栽などに関心が集まる傾向にあります。ポスト・コロナの時代には、中国から伝わり日本の文化となった生け花や盆栽などを通じて、文化交流がいっそう深化するのではないかと思います。生け花や盆栽を日常に取り入れている二人の方を紹介したいと思います。

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生け花は、中国から仏教とともに供花が伝来し、それが日本の風土の中で育成され芸術に高められました。ここ数年、中国の都市部では日本のフラワーアレンジメントや生け花を学ぶ人が急増しています。寧波大学の同僚である牛伶俐先生も、その一人です。牛先生は数年前、寧波で開かれた「人文花道」の体験教室に参加しました。このときすぐに生け花に魅了され、学び始めました。2019年には日本の大学に籍を置き、一年間、池坊流華道を学びました。寧波の教室で生け花を学ぶ人は、若い女性が圧倒的に多く、大学生や小中高生もいるというから驚きます。その中には、自分の手で花を選び花の姿を整え、できあがった生け花をプレゼントとして母の日や誕生日などに贈る、という人もいるようです。中国人にとって生け花は、日本人が感じるよりずっと身近な芸術になっているといえるでしょう。

 

盆栽は、中国では「盆景」といい、唐代に始まりました。これが日本に伝わったのは平安時代の終わりごろで、その後禅宗の影響や日本人独特の感性により、独自の盆栽が発展してきました。最近の中国では、富裕層を中心に日本の盆栽を持つ愛好家が増えています。盆栽というと高齢者の趣味というイメージがありますが.若い愛好家も少なくなく、中国人バイヤーや富裕層が直接日本を訪れて盆栽を購入しています。中国で日本の盆栽が人気なのは、緻密で繊細な日本人の美的感覚に共感しているからなのかもしれません。 ところで、静岡市に苔聖園という盆栽園があるのをご存じでしょうか。ここの盆栽作家・漆畑大雅さんは、10代で単身中国に渡り中国語や中国文化を学びました。帰国後は著名な盆栽作家木村正彦氏に師事し、本格的に盆栽を始めました。現在は盆栽作家として活躍しており、国内外の展覧会に出品しています。また、流暢な中国語と英語で盆栽の魅力を海外に向けて発信しています。海外から盆栽の手入れや実演のオファーがあるようで、コロナ後は寧波や杭州で見かけるかもしれません。

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寧波大学外国語学院外籍教師

静岡県立大学グローバル地域センター客員講師

(静岡県日中友好協議会 交流推進員)

横 井 香 織