勃興と爆走のトレンド「健康産業」

中国の『健康中国』建設事業計画によると、中国はさらに一歩、健康サービスを最適化させ、健康環境を建設し、健康産業を発展させるとしている。中国の健康産業の発展は、まだ端緒についたばかりであるが、産業規模は2017年の6兆元から2020年には8兆元へ拡大、2030年までに、中国の健康産業規模は大きく拡大し、健康サービス業の総規模は16兆元に達する見込みである。

この巨大市場に対して、IT業界(アリババ、テンセント等)、不動産やスマホメーカーまでと、大激戦状態となっている。中国で今、もっとも成長している分野のひとつが人工知能(AI)とヘルスケア・医療・介護を組み合わせた産業である。中国語では「智能健康産業」「医療人工知能産業」と呼んでいるが、100以上の企業が既に誕生しており、投資される額も莫大である。

・アリババ(阿里巴巴)
1 国家薬品電子監督管理データに基付く、医薬品のトレーサビリティー
2 医薬品のネット通販。O2Oサービス(宅配)
3 ネットによる診療サービス
4 ネットによる健康診断サービス

・テンセント(騰訊)
テンセントは「AI医学補助プラットフォーム」を立ち上げ、“医療情報化工場”および“補助診療エンジン”と位置付け、診療前、診療中、診療後までカバーしていくとしている。

・バイドゥ(百度)
若手医師の手引きとなり、時間の節約にめざした検索サイト“百度医療大脳”は、その目的のためにビッグデータとAIを駆使したプラットフォームを構築している。

中国の「AI×ヘルスケア・医療」産業は主に9つの領域に分類される。
@医療ビッグデータ、A医療画像診断、Bヘルスケアバイオテクノロジー、Cバーチャルアシスタント、D日常ヘルスケア管理、E音声アシスタント、FDNAがん検査、G医療検索、HAIチップ
   
疾病治療を主とした伝統的な医療衛生産業から、健康管理・疾病予防・医療・介護等の諸領域をIT技術の活用によって統合する「大健康」産業へのモデルチェンジの動きである。

「大健康」産業は、病院での医療を中核としつつも、健康食品・サプリメントや健康診断・生活指導から、病後のリハビリ、老人ホームやサービス付き住宅等の養老・介護領域、果てはスポーツ・レジャーまで、まさに生老病死に関わる全ての領域を対象にした幅広い概念と位置付けている。

「IT+医療」による顧客の囲い込みを目指し、健康管理プラットフォームの確立に注力している。政府が国を挙げて後押しする中、日本を凌駕する規模とスピードで成長している領域で、新しい健康管理インフラの形が確立されるのも、そう遠くはないように思われる。